3年目に上がったときのあたしは、とにかく「ここまでよく耐えた、自分えらい!」という気持ちで始まったあたしの鍼灸師3年目でした。
今回は、臨床の楽しさとは裏腹に、どんどんリアルになっていく「退職のタイミング」と「職場の人間関係(人数問題)」について、正直な胸の内を書いてみます。
3年目のスタートは「辞め時」を悩む
まず、丸3年続けられたという事実は、正直すごく嬉しかったです。
1年目、2年目のときは「とりあえず今日を乗り切る」「怒られないようにする」だけで精一杯だったのに、気づけばちゃんと臨床の流れも分かって、自分の型みたいなものも少しずつ出来てきました。
「石の上にも三年」とはよく言ったもので、やっと景色が変わって見えた瞬間です。
でも同時に「辞めるタイミング」に悩んでいました。
「5年働いてほしい」という約束と、自分の人生設計
就職面接のとき、院長から言われた言葉がずっと頭の片隅に残っていました。
「うちは、最低でも5年は働いてほしいんだよね」
その時は「はい!頑張ります!」と答えたものの、あたしの中の人生設計はちょっと違いました。
ざっくり言うと、「丸4年働いて経験をしっかり積んで25歳。そこから地元に戻って、26~27歳で開業する」というプランを描いていたんです。
だから、本音では「5年フルでいる」というよりも、**「4年で一区切りつけて、そこから開業準備モードに入りたい」**というのが正直なところ。
現場のリアルな義理人情と、自分の描いていたドライなタイムライン。
3年目は、そのギャップと本気で向き合わされる年でもありました。
採用ゼロ!? スタッフはずっと「先輩とふたりきり」
さらに、あたしの不安を煽ったのが職場の採用事情です。
ここはもともと、小さな治療院で「募集をかけても1人しか採用しない」という少数精鋭スタイル。
しかも、あたしが2年目に上がるときには、新卒募集すら掛けなかったんです。
「え、ってことは2年違いの後輩が入ってこないってこと? 先輩とあたしの2人でこのまま?」
と、当時はちょっと嫌な予感がしていました。
その後、2年目の途中になってから中途採用を募集し、合格した方もいたんですが、最終的には辞退されてしまうことに。
結果的に、スタッフはずっと「先輩とあたしの2人のまま」という状態が確定してしまったのです。
「この職場でひとりになる」という最大の恐怖
ここであたしの頭の中に浮かんだのが、「丸3年終わったらどうなる?」というシミュレーションでした。
丸3年経つと、一緒に働いている先輩は丸5年になります。
そうなると、次に辞めるとしたら、順番的にも「5年」という区切りの的にも、先輩のほうが先のような気がしていました。
もし先輩が辞めたら――
- この職場にスタッフひとり?
- もしくは新しいスタッフが入ってきて、あたしがその人を一から育てるのか?
どちらにしても、「一人ですべてを背負う未来」がチラつき始めます。
そして正直な本音としては、「この職場で一人になるのだけは、絶対に無理!(笑)」という感情が、かなり強かったです。
育成途中で逃げるのは失礼? ぐるぐる回る葛藤
もし新しいスタッフが入ってきたとしたら、当然あたしが育成を任される立場になります。
技術もルールも、患者さんの特徴も、一つずつ教えていくことになるはずです。
そうなったときに、
「育成の途中で辞めるのはさすがに失礼だよな…」
「教え始めた以上は、ある程度一人前になるまでは見届けないと」
という責任感みたいなものも出てきてしまいます。
でも一方で、
「ここであと何年も頑張る未来は、どうしてもイメージできない」
「開業したい気持ちはどんどん強くなっている」
という本音も、風船みたいに膨らんでいくばかりでした。
経験か、タイミングか。「辞めどき」の究極の選択
じゃあ、あたしはどうするのが正解なんだろう。
頭の中で繰り返し出てきた選択肢は、だいたいこの2つでした。
- もう少しだけここで経験を積んでから辞める
- 一通り学べた今のタイミングで、先にパッと辞める
本音を言えば、臨床経験はあればあるだけ安心です。
特に開業を目指している以上、「もっと色んな症例を診てから飛び出したい」「技術の引き出しを増やしたい」という気持ちは当然ありました。
でも、「このまま先伸ばしてにして、仮に30歳で開業となると、軌道に乗るまでに時間がかかるから30代プライベート潰すやん、てなると結婚出産無理じゃね」と女性特有のライフバランスにも悩み、それならば早めに自分から“ここを卒業する”と決めたほうがいいのかも…。
そんな思いも膨らんでいき、モヤモヤを抱えたまま3年目がスタートしていきました。
3年目は「自分」と向き合う年
3年目は、技術的にはもう一通りのことは学んだ、という実感も出てきます。
だからこそ逆に、「いつまでここにいるのか」「どのタイミングで次のステージに進むのか」を、真剣に考えざるを得ない年でした。
ここで働くことで得られるものは確かに大きい 。
でも、自分の人生のゴールは「ここで働き続けること」ではなく、「25歳前後で開業して、自分の院を持つこと」。


